東北だからできる古くて新しいこれからの生き方

↓↓↓「Natural High!」に掲載されたインタビューより ↓↓↓
簡単ではありますが、僕のこれまでの経緯や今思うこと。ご覧ください!

「東北だからできる古くて新しいこれからの生き方」

化石燃料を一切使わず、エコ燃料だけで世界中を走りまわった。走り続ける男を止めたのは、東北の人々のために何かしたいという思いだった。震災から一年間、岩手に根を生やして掴んだこれからの生き方。

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東北の暮らしにあるのは、手間を楽しむこと
2007年に「バイオディーゼルアドベンチャー」を立ち上げて、廃てんぷら油からバイオディーゼル燃料を作りながら、約1年かけて地球一周をしました。その後、2009年からは日本一周の旅に出発しました。様々な地域を訪れて思うのは、地方ごとに残る自然と共に生きる生活様式が本当に素晴らしいということ。そして、各地で自給生活や自分らしいライフスタイルにチャレンジを始めている人々に出会うこともできました。

3.11の日、僕はまだ日本一周の途中で、偶然にも岩手県花巻市で地震に遭遇したんです。ある自然農園に滞在していたのですが、ライフラインが断絶されても、暖房は薪ストーブですし、お風呂も薪です。水もわき水がある。豚も、鶏も、お米も、野菜も、自分たちの生活圏内にあり、生活に困らないわけです。

東北は、3.11 の地震と津波で大きな被害を受けました。しかしそんな中でも、東北の地域力の強さを感じることができました。まだ繋がりを保っている集落では、誰がどこに住んでいるのか、みんな知っているんですね。地震直後、足の悪いお年寄りが一人で住んでいる家に駆け込んで、一緒に避難できたケースもあります。そういった人々だからこそ、避難所に移っても、障害を持つ方がいる家庭へのサポートや理解があるんです。

問題があればみんなで解決すればいい。こういう暮らし方ってすごくヒントになるはず。つながりがあってこその社会です。

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無駄にも見える人と人とのつながりが、 お金に換算できない価値を生む

手間を楽しむ感覚が大切だと思います。野菜を自分で作っていたら、もちろん美味しいし、食べ物を大切にするようになる。燃料だって一緒ですよ。 自分で手間をかけて作ると、燃料を大事にするようになる。運転の仕方だって変わりますから。手間をかけているからこそできる、ゆったりとした時間の流れの中で生まれるコミュニケーション。それがここ東北でも感じられます。街を歩いて誰かに会うと、まずはお茶っこしてってと言われて、長いこと話し込んでしまうこともしょっちゅう。
一見無駄にも思える人と人とのつながりが、お金に換算できない価値を生むんですね。エネルギーを自給することも同じだと思います。いろりや薪を使って料理をする。手間をかける生活の中で、充実してくるものがある。決して、過去に戻るわけではなく、本当に豊かな生活、心と体が健康になるために今の技術をどう生かしていくのかを、見なおしていくタイミングにしていきたいですね。
沿岸部で被害を受けた人々が口々に語るのは、忘れないでほしい、訪れてここのよさを感じてほしい、ということ。現場を見て体感することが大事ですし、実際に地元の方とお話ししたり、買い物したり。どんどん訪ねてきて欲しいと思います。

東北にみんなの意識が向いている今だからこそ
僕の車は化石燃料に頼らず、廃油からバイオディーゼル燃料を精製しながら走れます。だからガソリンが手に入らなかった震災直後から、この燃料で支援を始めることができたんです。ありがたいことに、徐々に地元の人々やNPO、若い子たちが、廃油がたまったら声をかけてくれるようになりました。地元の人々にとっては、自然エネルギーへの関心はあるものの、身近に体験する機会が少なくて分かりにくいこともあります。でも実際に目の前でこのバイオディーゼルカーを走らせると、理解しやすいようです。

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ここは、山と川と森と海がすごく近いので、自然エネルギーにはとてもいい立地条件だと思います。そして僕がここにいることにご縁を感じます。 海外を見てまわれば分かりますが、日本ほど自然が豊かで、美しい四季がある国なんて他にはありません。それなのに森が有効に使われていなかったり、長い年月をかけて培われてきた文化や知恵が失われつつある。今がギリギリの段階だと思います。これから先何もしなければ、あっという間に失われてしまう。

かつて無いほど東北が注目されている今だからこそ、自然と共存する形で未来へ繋げなければならないと思います。今、僕はバイオマスも含めた自然・再生エネルギーを複合的に使って、ボランティアや地域活性、教育の拠点となるような施設を作りたいと考えています。エネルギーと食を自給できるようなコミュニティモデルができたらいいですね。最初から大きいことは考えず、まずは小さい規模で完全に循環できる家をモデル的に作れたらと思っています。

==「Natural High」インタビューより==

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